「戒厳令」とはなに？わかりやすく解説！韓国大統領のその後は？

2024年12月、韓国で戒厳令が出され、日本でも大きな話題となりました。そもそも戒厳令とは一体何なのでしょうか。

今回は戒厳令について紹介します。

戒厳令とは

戒厳とは、戦時や自然災害、暴動などといった緊急事態において兵力をもって国内外の一地域、ないし全国を警備する場合に、憲法や法律の一部の効力を停止して行政権や司法権の一部ないし全部を軍隊の指揮下に移行することを指します。そして戒厳令とは、この「戒厳」について規定した法令のことを言いますよ。

メディアなどでは「戒厳令が出された」というフレーズをよく聞きましたが、戒厳令はあくまで法令なので、正確には「戒厳が布告された」といった表現がされるようです。

戒厳令はなぜ出される？

戒厳令は本来テロなどによる治安悪化や過激な暴動を中止させるために発令されるものです。国家の安定を取り戻して市民生活の安全を確保するために発令されるのですが、民衆の抗議やデモなどによって政府が危機に陥った際に反政府勢力を抑えるような目的でも戒厳が布かれることがあります。

普段は分立されている三権を軍に移管させるのは、軍がより迅速かつ柔軟に動けるようにするためなのでしょう。

なぜ韓国で戒厳令が出された？

さて、この度戒厳令が話題になったのは2024年12月3日から4日にかけて韓国で戒厳令、非常戒厳が布告されたからです。過去には16度ほど戒厳令が出されるなど、戒厳令が出ることが多い国ではありましたが、17度目となる今回は45年ぶりの戒厳令。随分久しぶりだったこと、更に民主化後では初めてだったことからも非常事態であることが伝わってきますよね。今回、なぜ韓国で戒厳令が出されることとなったのでしょうか。

戒厳令が出された背景

2022年に保守系政党である「国民の力」の党員の尹鈴悦氏が韓国の第20代大統領となりました。しかし2024年11月時点で、ある調査では尹政権の支持率が僅か17％と低迷、国民の58％もが大統領の辞任や弾劾を望んでいたとされていました。更に国会では野党の「共に民主党」が多数派であり、その野党の支配によって最近一部の検察上層部の弾劾訴追案の国会提出や政府の予算案の否決などがなされていました。野党に国会の多数派を取られた状況では政策課題の達成も難しく、尹鈴悦大統領は厳しい状況にあったのですね。

2024年12月3日に非常戒厳が出された

そんな折、2024年12月3日に尹鈴悦大統領は非常戒厳を宣言します。その演説の中では、予算案を否決する野党について「自由民主主義体制の転覆を企てている」と批判しており、こういった所を根拠に非常戒厳に至ったものと思われます。また国民には「自分を信じて多少の不便を我慢するように」と求めたようです。なお、一連の措置について主導したのは国防部長官の金龍顕氏だったとされています。

尹鈴悦大統領は野党の攻撃の背後に北朝鮮がいると思っていて、自分が屈服すると大韓民国そのものが北朝鮮の影響下に入ってしまうぐらいの危機感を持っていたのではないかと言われていますよ。